去る7月21日、多摩就労支援ネットワーク連絡会議を立川地方合同庁舎にて開催しました。この連絡会議は、立川ハローワークと共催のもと毎年行なっています。
会の目的といたしましては、参加していただく皆さんに障害者就業・生活支援センターオープナーの活動を知っていただくことと、障害者雇用に関する旬の話題を提供することと考えています。
冒頭、オープナーの令和4年度実績と受託事業(精神障害者就労定着連携促進事業・中小企業障害者雇用応援連携事業)、今年度の方針について報告を行いました。
次に『「就労アセスメント」~法改正を受けて、今私たちのできることは?~』と題し、江戸川区立障害者就労支援センター所長の鈴木大樹さんに講演をして頂きました。
さて、ご存じのとおり、昨年度障害者雇用・就労支援関連法案が改正され、障害者の就労支援は大きな転換期を迎えています。具体的には、今後就労選択支援や特定短時間雇用などの仕組みが動き出す中で、多様な就労ニーズに対応していく必要があります。このことを受けテーマ設定として、就労支援のあり方や地域での役割について何が必要なのかを「アセスメント」をキーワードに据えました。
鈴木さんがいる江戸川区立障害者就労支援センターでは「誰もが気軽にアセスメントが受けられる地域づくり」を掲げ、様々な活動を通してネットワークを広げ構築していく仕組みを実践しています。
「雇用率が上がり、企業が障害雇用に乗り出しテレワークや短時間就労など多用な働き方が出てきたことで、支援の多様化と質が求められるようになりました。だからこそ今、改めて多くの関係者が英知を集め問題解決できるようなネットワークづくりや地域共生に向けた地域づくりへ動き出すとき。垣根を超えたネットワークづくりが、トータルに就労支援を創造していくことにつながるとも話されていました。」
鈴木さんからは、合わせて江戸川区の状況も話題提供いただきました。区では、福作防災(防災用品を梱包して江戸川区内のお客様に届ける)、障害者アート(エドてらす:障害のある人のアート活動の支援)、地元ラグビーチームのイベントや試合のお手伝い、えどがわギフト共同開発など、アセスメントのノウハウを最大限に活用し、企業開拓、雇用にとどまらず仕事をキーに福祉施設とのマッチングを提案し、福祉事業所が社会的に求められる存在となるために活動しています。
社会情勢や時代の流れに伴い、雇用施策・福祉施策など障害者を取り巻く環境はこれからもどんどん変わっていきます。福祉は待つばかりではなくそういった変化に対応するために開拓や連携など孤立しない組織体制が求められます。地域とのつながりは様々な形で構築出来るという発想は大事だと思いました。
講演の後半はディスカッションを行いました。パネリストは鈴木さん、シダックスオフィスパートナー調布事業所所長の栗田さん、オープナー所長の荒木です。アセスメントについて栗田さんは、入社してからがスタートであり、長く働けば最初とは本人の状況は変わってくるので、アセスメントは永遠に続くものだと話されていました。また、人や組織とのつながりは信頼で成り立っていることが大きいため、アセスメントが出来ている福祉事業所は状況把握が出来ており相談がしやすいとの事でした。荒木は関係を構築する上で必要なことは、お互いが責任をもって言うべきことは言う、そして頼めるという関係の線引きをしっかり作っておくことだと話していました。
最後に鈴木さんは、10年前に参加したイベントの講演者の話を聞いて“自分も何か出来ないだろうか”と熱い気持ちが沸き起こったのをはっきり覚えていると話されていました。そして、今日の講演がまた人とのつながりであり、バトンタッチされて欲しいと話し、講演を終了しました。
鈴木さんの講演で“アセスメントは重要だが、ストイックになってはいけない”という言葉は私にとって印象的でした。アセスメントは、何が有効なのかを示す一つの形であり、きっかけでもあります。当事者が中心であり、最後は本人にゆだねられるからこそ、丁寧にしっかり行うべきであるとより感じました。
今回、2年ぶり集合形式での開催でしたが、たくさんの関係機関が足を運んでくださいました。他機関とのコミュニケーションや名刺交換などリアルで行う会場の雰囲気はやっぱり良いものだと改めて感じました。講演をして頂いた鈴木さん、パネリストに出席して頂いた栗田さんにも心から感謝いたします。
(文責 吉岡)