第1回精神障害者就労定着支援連絡会が開催されました。
コロナ以降、昨年度まではオンラインでの開催でしたが、今年度は規模を縮小し約60人の方が集合型でご参加いただけました。
テーマは「精神障がい者を雇用する」とはどういうことかです。
精神障害者が障害者雇用義務になったのは平成30年です。今では精神障害者の方たちの就職者人数が毎年増え、当たり前に働いている時代です。今後も障害者雇用率は段階的に引き上げられていきます。一方、1年間の定着率をみると50%を切っている現実もあります。
長く働き続けたいと願う当事者に対して、どのような支援体制が必要なのかについて、基本に立ち戻り今回のテーマを設定しました。
そこて、各分野の第一線でご活躍している、医療・福祉・企業・当事者の視点からとても丁寧にご発表をいただきました。
パネリストは以下の皆様です
医 療:りらカウンセリング&コンサルテーション 主宰 佐々木 真一氏
福 祉:社会福祉法人 武蔵野 ジョブアシストいんくる サービス管理責任者 松村 佳子氏
企 業:学校法人桐朋学園 事務部長 三輪 香織氏
当事者:利用者を代表して、樋熊 克彦氏
そして、ファシリテーターには調布市こころの健康支援センター センター長 木内 洋氏にご協力をお願いしました。
各パネリストからのご発表で印象に残った部分をご紹介します。
佐々木氏
- 企業の皆様へは「ありのままの姿」を理解して欲しい。
- 医療者の皆様へは当事者の「就労への希望」をスルーしないでほしい。
同時に、就労支援機関の役割を知り、連携してほしい。連携しながら職業準備性を高めることが必要。
松 村氏
- 訓練を通しての職業準備性を高めるだけではなく、医療とも連携が必要。
- 訓練で職業適性も大切だが、病気の波について、自分で気付けるようになることが重要。
三 輪氏
- 採用面接時に「採用面接のためのコミニュケーションツール」を活用し、職場ならではの質問をすることが必要。
- 職場定着では「その時々の悩みは支援者に相談して」進めてきた。担当者だけが抱えずに、支援機関と連携することで、定着を図ることが大切。
樋 熊氏
- 月1回の定期面談では、仕事についてだけではなく、趣味の話も聞いて貰っている。励ましてもらうことがいい。
- 支 援 者 へ「利用者は支援者を選べない。質の高い支援を求めたい」
- 企業の人へ「国が決めた最低賃金を守るのではなく、能力に合わせて引き上げも考えてほしい」
- 医療の人へ「診療時間を長くしてほしい。地域の社会資源の知識を身につけてほしい」
樋熊氏からの言葉はやはり響きます…。各関係者は心に留めておきたいメッセージでした。
本当に多くの質問もいただきました。事前質問も合わせると30以上になったかと思います。
いくつか記載します。
- 適切な通院同行のタイミングは?
- 企業と医療が連携するためにはどうしたらいいか?
- 支援者がいない場合の指導の仕方はどうしたらいいか?
- 加齢/症状/家族の変化があった時のサポート方法は?
木内氏も仰っていましたが、多くの質問があるということは、日々現場で関わってくださる皆様に、熱い想いがあることなんだと強く感じました。
他にもたくさんの質問がありました。時間の都合上、全てにお答えできず申し訳ございませんでした。
質問に対しては各パネリストの皆様から、経験と実践の中での対応をお答えいただきました。
特に加齢については、ご本人・親双方に等しく押し寄せてくることで、加齢の弊害は多岐に渡っていくお話がとても印象的でした。
働きやすくなりつつある社会から、働きつづけた当事者が、ボリュームダウンをしながらの雇用継続、そして地域でどう生活し続けていくのかを考えないといけない時代も始まっていることもより感じました。
全体を通して、「採用が決まった」がゴールではなく、当事者が働きつづけていくことを目指して、サポートする側は「連携」が必要なことが語られていました。
同時に、サポートする側のメンタルヘルスにもつながっているとも感じました。
当事者側の働きたい、働ける、働き続けるという職業準備性があるように、受け入れる企業側にも採用面接時の質問を工夫する、サポート体制の構築を検討しておくなど、採用準備の大切さについてのメッセージもありました。
さて、第2回精神障害者就労定着支援連絡会では、実践事例を交えた『「精神障がい者を雇用する」とはどういうことか?』になります。
時期としましては、12月初旬を目指しております。
2回目の精神障害者就労定着支援連絡会ではテーマは
お知らせなどは別途お送りいたしますので、ぜひご参加ください。
※本連絡会は10月25日(月)頃からオンデマンド配信もご覧いただけます。
オンデマンド配信の視聴申し込み方法は別途ホームページでご案内致します。
障害者就業・生活支援センターオープナー
川田 俊也