9月17日、青梅の家族会「ほっと・スマイル」の定例会に、シュロ亭のピア(当事者)スタッフ櫻井博さんと共に参加してきた。当日は多摩棕櫚亭協会のご紹介もさせて頂いたが、メインディッシュは何と言っても櫻井さんのお話し。今回は家族会のお誘いと言う事もあり、いつもの体験談に加えてご両親とのやり取りを、時には当日お二人から貰ったお手紙を読み上げながらお話しされた。正に渾身の作!と言う感じだった。ご本人曰く「当時の事を思い出すのは今でも辛いけど、ご家族には誤魔化してはいけないと思って…」と。彼の誠実な人柄が覗く。その思いはご家族に届き、会場は全員の周波数がピタリとあった感じ、何か「双方の橋が渡った!」瞬間に居合わせた感じだった。私も感動し涙を流したものの、実は私が彼と出会った10年なんて物事がうまく回りだした10年なんだと思い知らされた。それまでに彼とご両親との間には、たくさんの葛藤、争い、すれ違いがあった事を彼の話は物語る。「ご家族も当事者」とはよく言うが、正にそれを実感した瞬間だった。会場のご家族も、彼の話に後押しされるように、涙ながらに様々な思いを語られた。中には「櫻井さんの話には感動したが、今でも娘を医療保護入院をさせてしまった傷が癒えない」と、切々と語るご家族もいた。「ご家族を支えるサービスがこの国は少なすぎる…」そんなことも痛感した。話の最後を櫻井さんはこんな言葉で締めくくった。「病気になって僕も途方にくれたが、今にして思えば父も母も同じだったんだと思う。精神病になると言う事は、今まで引いてきたレールをもう一度引き直す様なもの、だから回復までに時間がかかるんですよ」と…深くて重い言葉だった。
この日の司会は中住さん、この貴重な機会をくれた方だ。東京青梅病院を退職し、舞台を地域に変えて活躍されている。今はひこばえの家の理事長を始め、東京つくし会の理事、この家族会の世話人と病院時代よりかえって忙しいそうだ。何とも頼もしい。
いい時間を過ごした。櫻井さん、中住さん、そして「ほっと・スマイル」のご家族の皆さん、本当にありがとうございました!
報告者 小林 由美子