10月のお知らせで、省庁の障害者水増し雇用問題について、中東カタールに本拠地を持つアルジャジーラが取材に来たことをお伝えしました。
そして、今回はその第二弾。
今月9日にその模様が放映された事をお伝えいたします。
今回、棕櫚亭では水増し問題の取材を受けましたが、取材全体のテーマは「Japan’s disability shame」直訳すれば、「日本の障害は恥」と言う、もっと大きく、もっとショッキングなもの。
取材前には、「日本は、2020年にオリ・パラピックを控えているが、来日していつも思うのは、外で障害者に出会わないと言うこと。海外(とりわけ欧米)では、もっと普通にダウン症の子供等に出会うのに…そんな疑問に端を発したのが今回の企画です。日本人の障害者観が浮き彫りになる様なものになればと思っています。」と、そんな説明を受けました。
取材先は棕櫚亭の他に、旧優生保護法の下、精神病者にさせられ、無理やり精神病院に入院、強制不妊手術を受けた男性の半生や、津久井やまゆり園で起きた障害者殺傷事件の犠牲となり、辛うじて生き残った被害者家族の今。さらにはパラリンピックを目指す青年アスリートなど、30分番組では収まらない内容ばかりものばかりでした。
9日当日、私もインターネットで番組を見ましたが、言い方は不謹慎かもしれませんが、水増し雇用も吹き飛ぶ、それ以前の日本ひいては日本人が、障害者の尊厳をどの様に捉えているのかを大きく問われる様な番組の仕上がりでした。しかし、その延長線上に今回の省庁の水増し問題が繋がっているのだという事も痛感せずにはいられない30分間でした。
最後にこんな事を思い出します。取材時、インタビュアーがこんな事を私に問いました。「日本人は全てに完璧を求めすぎるのでは?」と。それは何かに限定された質問と言うよりは、今回の取材で彼が感じた日本全体への率直な感想だったように私には思えました。
日本が世界に誇る「おもてなし」。しかしこれは、もしかしたら障害者はもちろん、日本人全体にある窮屈さを強要しながら成り立っているのかもしれません。
精神障害者の幸せ実現を掲げながら、その問の答えに窮した私も、その中にどっぷり浸かった一人なのかもしれない・・・・そんな事を、アルジャジーラはやって来て、私に気付かせてくれました。
とにもかくにも、貴重な体験となりました。
理事長 小林由美子
*映像はこちらから(1:40~)