理事長 小林 由美子
ほんの数ヶ月前に、今のこの状況を誰が予想したでしょうか?
昨年の11月に中国武漢で発見された新型コロナウイルス、そしてその世界的大流行。少し前までは「あ~中国が大変な事になっている・・・」と、対岸の火事を眺めるような気持でいました。しかしそれは対岸のものではなく、今や私達の目の前に迫っています。そして今月7日、国から出された緊急事態宣言。そんな状況の中で多摩棕櫚亭協会としても、このパンデミックに対する一つの方針を出しました。
法人として、このウイルスへの対策に取り組み始めたのは2月の初旬からです。この頃、厚生労働省からも、ウイルスに関する通知がいくつも届き始めました。それに倣い、手洗い・うがいの徹底や加えてのアルコール消毒、三密を避けるための時差出勤や部屋の換気、さらには10人以上のイベントの自粛など、拡大防止となる策には出来るだけ取り組んできました。そしてこの間、それに快く協力してくれたメンバーの皆さん、推進してくれた職員には本当に頭が下がる思いです。
しかし、ここまでしても感染は拡大の一途をたどる中、法人としてこの事態にどの様に対応していくのか議論も重ねてきました。その中で難しかったのは、自分達の軸足をどこに置くかという事です。棕櫚亭は社会福祉法人です。社会的使命を持ち、いかなる時も地域や利用者の方々に貢献していく、これが私達の仕事だと思ってきました。そして、それが支えでもあります。しかし今回の問題は、ウイルスという火の粉が、このまま活動を続けていれば、自分達にも降りかかってしまうというリスクを大いに孕んでいました。さらに、これについての正解はどこにもなく、自治体に問い合わせても「今は何とも言えません」の一点張り、周辺の事業所の対応を聞いても、答えはまちまち、結局はそれぞれの法人に委ねられているというのが現状でした。
そんな中議論は、この状況に委縮せず、サービスを出来る限り続けたいと言う思いと、やはりリスクを考え、止むなくば一端の閉所や縮小もあるのではないかという思いの間を揺れ、時には経営層の意見が分かれる一幕もありました。しかし、4月7日に国から緊急事態宣言が、それを受け東京都から緊急事態措置が出された時、いよいよ法人の最終結論を出す必要を感じました。
そして、悩んだ結果、今回はメンバーの皆さんや職員、そして、それぞれのご家族の命と安全を第一に考え、緊急事態宣言期間は各事業所のサービスの切り替え(通所から在宅へ)、もしくは縮小を決定いたしました。(詳しくは当法人のHP4/10・4/13のお知らせをご覧ください。)決定してからも、この結論でよかったのか?やはり社会福祉法人として開所し続けるべきだったのではないか?と自ら問い直す時もありました。
しかし今は、こう思うに至りました。「まずはこの火の粉からみんなを守ろう。みんなが元気でいつづけられる事に全力を注いでいこう。そして、この事態が収束した後、笑顔で再会できる事を今の最大の目標とする。そして、その時に社会福祉法人としての使命を存分に果たしていこう。」と・・・・
この期間中は利用者の皆さん、関係機関の方々にはご不便やご迷惑をおかけする事とと思います。とにかく、職員一丸となって取り組んでいきたいと思いますので、今回の決定にご理解いただけましたら幸いです。そして、この難局を乗り越えた先に、次の一歩、そして希望が見えてくる事を願わずにはいられません。