10・11月と連続して法人内研修を実施しました。 まず10月6日に「権利擁護研修―意思決定支援について」として、法人の第3者委員で早稲田大学の岩崎香さんに来ていただきました。イギリスにおける「意思決定能力法」を使っての説明は、意思決定支援の仕組みを考える上での基本の姿勢としてとてもわかりやすいものでした。特に、本人にとって危険や賢明でないことであってもおかす権利があることや、意思決定とは私たちが考える本人の利益ではなく本人の最善の利益のために行わなければならないことなど、つい支援者が思い込んでしまうポイントを再確認できたと思います。また、そもそも意思決定を尊重するためには、本人の価値を尊重し、ニーズを自ら表明できるよう支援する、そのための情報提供の方法を準備する必要があることも整理していただきました。権利擁護の視点からの研修でしたが、本人が決めていくプロセスに寄り添うこと、どう考えたかを理解しようと努めることなど、対人援助に必要な土台は変わらないということを改めて感じ、またその姿勢を日々続けていくことの大切さを肝に銘じた時間でした。
11月29日には、「対人援助実践の基本について振り返る」をテーマに、法人の元評議員で立川社協に勤務している比留間敏郎さんに来ていただきました。ご本人のニーズをどのように捉えるかという視点に加えて、スタッフとしての自分が置かれている状況をどのように分析するかを整理しました。素の自分と職業的な自分、その自分が組織の中で何を求められ、その役割に対してどこまで責任を持てるのか等を各々が考えました。特に興味深かったのは、自分の力量では無理な場合、やってくれる人を見つけることで自分の力や法人としてのやれる範囲が広がっていくということでした。自分とチームと法人のアセスメントをすることは、適切なサービスを提供する上でも、棕櫚亭の理念である「精神障がい者の幸せ実現のために地域を創造する」にもつながっていることを強く感じました。棕櫚亭をよく知ってくださっている比留間さんの例えはわかりやすく、作業中の隣同士のやり取りも面接であることや、アセスメントシートは書いて終わるのではなく、本人を理解して終わるのだなどのたくさんのポイントをいただきました。1年目から20数年目の者まで幅広い職員層で受けた研修でしたが、それぞれが持って帰れるものがたくさんあった3時間でした。
お二人ともお忙しい中ありがとうございました。
常務理事 高橋 しのぶ