愛知県豊川市に事業所見学と講演の出張に行ってきました

法人本部 2018/12/06

今回は5年ほど前からお付き合いのある社会福祉法人 若竹壮 あけぼの作業所の職員である柴田さんから講演の講師をご依頼いただきました。

内容としては、「自立訓練と就労移行支援の活用の仕方」と「定着率をあげるための支援・関わり方」についてでした。実はものすごいプレッシャーでした(汗)

21日(水)は豊川市内にある障害者施設を見学させていただき、22日(木)が緊張の本番でした!

事業所見学は驚きの連続!そこから感じた地域としての課題

最初に、自立支援協議会を見学させていただきました。豊川市の人口は18万人ということで、ほぼ立川市と同じ人口ですが、精神障害のある方達の社会人資源の少なさに正直、驚きを隠せませんでした。具体的な社会資源は、豊川市全体としての就労移行支援事業所は4ヶ所、そのうち精神障害者に特化した就労移行支援事業所は1ヶ所。地域活動支援センターに関しては、日中活動の場として活用できるのは1ヶ所ということでした。このことについては、豊川市で支援している皆さんも「なんとかしたい!」という気持ちで考えていて、「精神障害の方達が地域で安心して、働いて暮らせる社会」を目指して支援者の熱さも感じることが出来ました。
熱量が同じ仲間同士、事業所間の垣根を超えて、障害者雇用などを地域に発信していく意見交換が活発に行われていました。「就労部会が1番活発なんです」と話されていた、皆さんの表情がとても素敵で、国立はまだまだだな…とも感じた瞬間でした。また、とてつもない忙しさの中で、週1回の頻度で就労部会を開いていると聞き、小声で「すごい…」とつぶやいてしまいました。

いざ、豊川市の事業所に見学へ!

1ヶ所目は社会福祉法人 若竹荘 あけぼの作業所です。こちらの事業所は知的障害の方達を対象にしています。見学風景1

多機能型で、就労移行支援と生活介護事業です。就労移行支援に登録されている方達は、社会福祉協議会の建物内で、清掃訓練をしているとの事で、そちらを見学させていただくことが出来ました。
最初に感じたのは、全ての業務に対して、マニュアルが整備されており、どの利用者へも対応ができると同時に、職員側の指導の標準化が出来ていることに感心しました。
職員の定盛さんは「いい所をみつける、そして、伸ばす」の言葉はとても印象的で、ご本人の目標設定や職員が気づいたことなど、振り返りシートを活用しながら、関わっていました。

訓練をしているとついつい重箱の隅をつつくような対応になりがちな中で、「今、訓練でやる目標と課題」を3人の職員で共有するシステムが参考になりました!2

余談ですが、3人の職員での役割分担を決めていて、厳しめ、お兄さん的、お母さん的な職員として、対応しているとの事でした。そして、就職が決まった方達は笑顔の写真入りで、勤務条件や就職までの利用期間などを廊下に貼り出している工夫もされていました。利用者の方達のモチベーションになる工夫もされていました。

生活介護事業の見学もさせていただきました。3パンや某大手自動車会社の拭きあげで使用するタオルの製造に従事されていました。

とにかく質の高い製品が出来上がっており、法人の稼ぎ頭という説明にも納得できました。

生活介護の方達なので、働くことが目的ではない方達も大勢いらっしゃいました。4

働くことが全てではないため、お一人お一人ができることで、とても笑顔で過ごされていたのもとても印象的でした。

 

 

2ヶ所目は有限会社 ウィングです。5こちらは就労移行支援事業所と就労継続A型とB型の多機能型で、3障害を対象としています。こちらの事業所は、今夏にピアスの見学にいらしてくださりました。有限会社が立ち上げたものだけあって、本当に職場!でした。
就労移行支援の訓練では、中古品のインターネット販売を取り扱っており、出品から発送までを利用者の方が対応しているとの事でした。
6 また、就労移行支援に登録している方達には、ビジネスマナーやコミニュケーションについての座学なども行っているとことでした。
就労継続B型でも内職作業や農作業などを中心に行っているそうです。地域の特性もあり、農作物の袋詰めや車の部品組み立てなど、幅広く行っていることが特徴でした。

 

さらに、地域活動支援センターの見学にも行かせていただきました。豊川市の相談支援事業所が16ヶ所あるのに対し、精神障害者の方が日中利用できる地域活動支援センターは1ヶ所とのことでした。

1ヶ所に集中してしまっているため、利用定員の20人の方達がほぼ毎日通所されているそうです。プログラムも試行錯誤しながら、マジシャンを呼んだり歌を歌ったり、外出プログラムを取り入れたり・・・。本当に一生懸命に「精神障害者の方達が外に一歩出てみる」「日中に安心して通える場所」を目指した取り組みをされていました。

こういった地域活動支援センターが1つでも多く増えて欲しいと強く感じました。

そして2日目…緊張の講演会

企業23社43名 支援機関・福祉事業所・行政71事業所207名 一般19名 合計269名と多くの方にご来場いただきました。

講演では、ピアスとオープナーの取り組みについて、話をさせていただきました。

「社会資源が多いからできる支援」ではなく、「職場定着を進めていくための」準備ポイントや定着支援時の企業への関わり方などについてお伝えさせていただきました。

ピアスからのメッセージとしては、表面上のトレーニングではなく、身体を動かして、微妙なさじ加減で負荷をかけながら、「骨太」になってもらえるような支援が大切、オープナーからはご本人、企業からいつでも連絡をもらえる関係性を作っていくことで職場定着を進めていくことが重要であることをお伝えしました。

会場の皆様からの反応もよく、大きくうなづいてくれている方達も多かった印象です。

2部では社会福祉法人 若竹荘 都築さんのコーディネートのもと、オーエスジー株式会社 人事チーム 宮川様・神戸市でピアカウンセラーとしてご活躍されている、笹森様・豊川市社会福祉協議会 障害者相談支援センター 所長 松井様と一緒に登壇させていただきました。

親亡き後になる前に今からできる支援についてやトレーニングに負荷をかけるということの意味など、様々な視点から意見交換をさせていただきました。

 

今回の講演出張では、地域における社会資源をどのようにしていくか?東京のように単純に事業所が増えて、資源はあればいいものなのか?本当の意味での社会資源とは何か?・・・本当に考えさせられるいい機会になりました。

また、講演に向けての主催者側の準備では、これまた驚くことばかりでした。棕櫚亭も研修などでのチームワークはあると自負していましたが、今回の研修では、1つの事業所だけで進めるのではなく、市役所も巻き込みながら、かつ地域の熱心な事業所同士でのネットワークを活用しながら完成させていく。これは、本当に見習わないといけないと感じました。国立市でも同じことができるように、頑張っていきたいです。

いたれりつくせりの濃密な2日間でした。今回の機会を作ってくださった、柴田さんをはじめ、豊川市の皆様に感謝です!

時間の合間で柴田さんに豊川稲荷神社に案内して頂きました。棕櫚亭の今後の発展祈願もしてきました!!

78

障害者就業・生活支援センター オープナー

主任職場定着支援担当 川田 俊也


 

地域によって社会資源の数や種類も様々で、たまたまバランスが良い場合もあれば、同じ事業ばかりが多いところもあります。今回は、就労移行と自立訓練の活用という点で声をかけてくださったので、当事者・支援者両方にとって何かのきっかけとなればと思い、ピアスの経過や現状を話させていただきました。

ただ、東京のように就労移行が極端に多い割には、似通った特徴のところばかりが増えている現状を考えると、必ずしも地域に事業の種類や数を増やすことが良いともいえないのではないかと感じました。逆に、豊川のように事業の種類は少なくても、地域のネットワークが機能しているのはとてもうらやましく、既存の事業を運用することで、新たな利用者層の掘り起こしにもつながるのではないかと思い、シンポジウムでは発言もしました。

また、今回の事業所見学で、自立訓練の立ち上げを考えている事業所の方と話す機会が持てました。そこの事業所はB型がしっかりと働く場になっていて、定員も多い様でした。一方で就労移行の作業メニューや人数の確保に苦慮しているとのことで、自立訓練を立ち上げた時の多機能としての運営を考えると、一歩先に進みにくいという話をされていました。ピアスも、常にサービスの組み立てと事業運営を模索し続けているので、深く共感し、お互いの更なる取組みを約束したのでした。

地域は違えど、目指すところやそれゆえの悩みが共通していることを感じると、とても力強く感じます。今回もまたそのような仲間に出会えて、とても幸せな気持ちで帰途につきました。ついでに言うならば、豊橋駅近くの一杯飲み屋でずいぶん飲んで、慌てて新幹線に乗って帰ってきました。

ピアス 施設長・法人常務理事

高橋 しのぶ

カテゴリから関連する記事をさがす
法人本部オープナー
タグから関連する記事をさがす

タグはありません。

トピックス