多摩あおば病院デイケアの方々に見学していただきました

ピアス 2016/09/29

9/29多摩あおば病院デイケア利用者4名とデイケアスタッフ1名、デイケア利用者でピアスOBのTさんと6名の方々にご参加いただきました。

多摩あおば病院デイケアでは就労準備グループという就労に関心興味のある方々に向けて『一般就労・障害者雇用・準備訓練について』学習をされているそうです。

今回はピアス・オープナーの訓練やサービスについて説明させていただいたり、実際の訓練場面を見学して頂きました。説明の際にはピアス利用者の方々に実際参加している作業部門についてご説明いただいています。『自分の病状のサインを知ることが出来た』『調子が悪くなる前に対処することが大切』『訓練を段階的に進めることでスムーズな利用が出来ている』などの利用者の皆さんがピアスを利用しての実感をお話しいただいたので、見学された方がピアスを使うならとイメージして頂くことが出来たでしょうか?

ピアスは今後も医療機関や施設の方、企業の方、地域の方々の見学をお受けしておりますのでご希望がありましたら、ピアスまでご連絡頂ければと思っております。

 

ピアス 副施設長 吉本佳弘

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「リカバリー全国フォーラム 2016」分科会

ピアス 2016/09/23

去る8月26日(金)に、「リカバリー全国フォーラム2016」の分科会に参加をしました。

会場には当初の予定人数よりも大幅に上回る約80名の当事者、ご家族、支援者の方々に足を運んでいただきました。「発達障がい者の就労」というテーマで、ピアス卒業生の千濱友之さんと私が講演を行いました。ピアスでの就労トレーニングの実際と、CESプログラムの説明を中心とした内容でしたが、質疑応答も活発に行われました。

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前半はJSN東京の浦野さんから「就労移行支援事業所における発達障害者への効果的な援助要素」に関する調査報告とJSN東京の紹介がありました。そのなかでご本人が自己理解すること、そして自ら周囲へ提示していくことができるようになることが有効であるとの話をされていました。棕櫚亭と同じ理念であること、そして自分たちが必要だと思っていたことが必要であるとの報告に改めてその重要性を感じました。

後半はピアス卒業生であり、現在オープナーを利用されている千濱友之さんにお話をしていただき、私のほうからピアスの訓練内容を、特にCESプログラムについて話をしました。大学卒業後、教職員として働いていたときに苦労したこと、ピアスに繋がりCESプログラムを含む訓練を行い就職した経緯、就職してから色々な葛藤があったことを赤裸々に語っていただきました。その中でピアス利用開始当初は「相手のことを考えなければいけない意味がわからない」とおっしゃっていました。しかし今では「人との繋がりが大切で、そのために自分のことを自分で伝えて相手に知ってもらうことが必要なのだ」と語ってくださいました。千濱さんの発表が終わると時間内には答えきれないほどの質問の声があがり、その中には支援者として考えさせる質問もありました。

また、アドバイザーとして登壇されていた笠井さんからは会場からの質問に対して「発達障害という言葉が先行しすぎている」「就労するステージにあがると就労出来るか出来ないかをジャッジをされることになる」という目まぐるしく変わっていっている障害者の就労支援に対して、支援者にも陥りがちな視点を言葉にしてくださいました。

今回、千濱さんの言葉を聞いて、私は発達障害をお持ちの方にコミュニケーションの必要性と自己理解の大切さを伝え続け、人と繋がることで働く喜びを感じていただけるように支援していきたいと思いました。

本田 美咲

 

 

厚生労働省の職員見学がありました

研修会 2016/09/07

DSC_00878月27日(土)に、厚生労働省から13名の職員の方々がピアスの見学にいらっしゃいました。その日は就職者向けのCES(コミュニケーション)プログラムも実施していたので、昼食を取りながらピアス利用中に得たことや会社での現状を話してくれ、中身の濃い懇談の時間となりました。その後トレーニングの見学、職員との意見交換や交流会を行いました。 午後からの短い時間ではありましたが、トレーニングを実際に見て利用者さんと会話をする中で、ピアスに通うことで身に付いていることを感じることができたとの感想もいただました。また、今回の見学にいらしたのは今年入職された方から3年程度の方々です。熱心に質問もしていただき、これからの厚労省を担っていく方々に現場を見ていただき、ピアスの就労支援の仕組みや理念を伝えることができたのではないかと感じました。

『卒業生インタビュー 1』山下洋輔さん(株式会社いなげやウィング)

法人本部 2015/12/15

卒業生インタビュー 1

みんなピアスにくれば道が開けると思う|山下洋輔さん|ピアス 就労移行支援事業所|社会福祉法人多摩棕櫚亭協会

ピアスのトレーニングを経て就職をされた方は、1997年の開所以来、170名以上にものぼります。(※2015年度時点)
今回は、ピアスを卒業され、現在も継続してお仕事をされている「山下洋輔さん」と、会社の定着支援担当の「千葉康夫さん」へのインタビューを実施しました。
山下さんはどのようにピアスを利用され、それが今のお仕事にどう生かされているのでしょうか?

ピアス入所前の経歴を教えてください

山下さん: 大学を中退して、アルバイトも長続きせず、発病してなびぃのデイサービス、根岸病院デイケアに2年間通い、ピアスに入所しました。

なぜピアスへの入所を決めたのですか?

山下さん: 先生からトレーニングをしておくと、発病前の仕事の感覚も取り戻すことができ、仕事が長続きすると、アドバイスがあったからです。

ピアスでどんなことを学ばれたのですか?

山下さん: 仕事をするには体力が必要なので、週5日4時間のトレーニングをしっかり行いました。そこでは、報告・連絡・相談をしながら作業を身につけるいい機会になりました。また、就職活動で必要となる履歴書の書き方や面接練習等も行いました。

ピアスで学んでよかったという点はありますか?

山下さん: 体力が付いたので休まず仕事に出勤できています。また、報告、連絡、相談が上手に行えるようになったことで、上司とコミュニケーションが取れるようになりました。

現在の勤務時間を教えてください。

山下さん: 入社した当初は6:30~10:30で行っており、その後13:30、15:30と勤務時間を延ばしていったのですが、体調を崩してしまい、現在は6:30~10:30で行っています。

現在はどんなお仕事をされているのですか?

山下さん: 売り場でグロッサリー(食料品・生活雑貨・日用品など)の品出しです。足りない商品を補充したり、奥にある商品を手前に出したり、勤務時間中はずっと動きっぱなしです。

今の仕事を選んだ理由は?

山下さん: 前職で経験があったので、やり易いかなと思いました。

ピアスで体力がついてよかったということですけど具体的にはどういうことですか?

山下さん: もともとピアス入る前は何もしていなかったので、作業をやるような感じではありませんでした。デイケアで一日中座っていたりして。作業する体力がなく、最初は2時間を週3回で、その後に、週5にどんどん延ばしていってちょっとずつ作業に慣れて体力をつけていきました。

意欲や気持ちの部分で変化はありましたか?

山下さん: ありました。最初はデイケアを週に2回行ってピアスは週3回でした。最初は、あまり作業をしたくなかったのでデイケアの方が行きやすかったです。でも工賃はもらえるし、『作業をすればするほどお金にもなるから働く』ということが分かり始めてモチベーションがあがりました。

コミュニケーション面でもピアスの訓練が役にたっていますか?

山下さん: 報連相というものをやったことがなかったのですが、今の職場でも報連相をそのまま使っています。ピアスでは清掃の時に報連相が全くできていないと指摘されました。清掃作業が終わった後に、本当は終わりましたと伝えなければならなかったのに椅子に座っていたんですよ。それで指摘されて以来自覚するようになりました。

ピアスを利用したいと思っているひとたちにメッセージはありますか?

山下さん: 皆さん、順調に生きてきたわけではないと思いますけど、ピアスにくれば道が開けると思うので、是非、利用してみて下さい。


勇気をだして働いてみよう|株式会社いなげやウィング 千葉康夫さん|ピアス 就労移行支援事業所|社会福祉法人多摩棕櫚亭協会

山下さんのお仕事のようすを聞かせて下さい。

千葉さん: 彼は出勤もちゃんとしていたし能力的にも高かったので、何にも問題なかったです。要領とか段取りは教えたけど、病状も安定していて、決まった場所・覚えた場所に出すという単純作業で体を使うような仕事が山下さんのパーソナリティに合っていたようです。「この商品どの通路だったっけ?」と私が山下さんに聞くくらい記憶力が抜群に良いんですよ。

ご自身では、仕事の特性などについて語ることはありましたか?

千葉さん: あまりしてないでですね。どっちかっていうといきなり溶け込んじゃった感じで、真っ先にこの商品はこの通路にあると覚えたのは彼で能力は高くリーダーからの信頼も高かったです。コミュニケーションは得意ではなく、自分で何かを言うことはあまりなかったですが、作業が好き、黙々とこなすのが好きなように見えます。

ご自分の症状を理解されている方は多いのですか?たとえば山下さんの場合はどうでしょうか。

千葉さん: 山下さんは疲れてくると疲れている感じがわかります。一時期、本人より一日6時間で週30時間の勤務時間を長くして社会保険にして今後一人暮らしをしたいという要望がありました。そこでこちらもアクションを起こして時間を長くしたのですが、山下さんが体調を崩してしまって。そのあと時間を戻したら、体調が治ってきましたけどね。

それはご本人が発信できたのですか?それとも周りが気が付いたのですか?

千葉さん: 先にリーダーさんが気付いて、そのあと本人からちょっと無理そうですと申し出がありました。本人の希望だったので分からなくてやってしまったのですが、やるとしてもじっくり伸ばすかなぁ、1時間とか30分とかちょっとずつ時間を延ばせばよかったなぁなどと思うことがありこちらも勉強になりました。

だとすると、実際に時間を増やすときとか、環境が変わる時は自分がどんな変化をするのか、もしかしたら体調が悪くなりかけるとか、そういうことを訓練の間でシミュレーションをして、会社の方と共有できるといいですね。

千葉さん: そういう疲れの兆しを見るポイントなどを伝えていただけたらありがたいなと思います。病気についての知識がない店員などに伝えるのは大変かもしれないですが、この人はこういうところで大変なことになっちゃう、疲れやSOSサインはこうであるとか、パニック発作などに陥った時はこういう対処をしてくださいというようなアドバイスが支援者や本人から出てくると、いいですね。本人も確立していると助かります。

他に訓練で準備できておくといいことはありますか?

千葉さん: 先ほどの基本的なことのほかは、実際に働いてみないとわからないと思います。働くことが一番のリカバリーになるかと思いますし。もちろんある程度前提となることは訓練や勉強をしてもらって、多少自分の対処法とかを相手に伝えられるようにとかはちょっとやって置いた方がいいですが…。仕事って何千種類もあるし、とりあえずは勇気をだして働いてみるというほうが早いような気がします。就職する前に、時間帯など安心して通える条件で職場実習も体験してもらえると、実際に働いているとこんなものなんだ、という感覚がつかめるのでいいと思います。

協力: 株式会社いなげやウィング
インタビュー: 2015年12月

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