[受付終了]第1回 精神障害者就労定着支援連絡会 見逃し配信のお知らせ

オープナー 2022/11/22

オープナーでは、10/26(水)に第1回 精神障害者就労定着支援連絡会を開催しました。第1回連絡会では就労支援ネットワークONE中金竜次氏講師にお迎えし両立支援の実践と、医療機関との連携に関するヒントについて報告していただきました。

両立支援とは癌などの『長く付き合っていく病気』の治療を行いつつ、就労の継続を支援するというものです。

精神障害者も同様に『疾病管理と就業上の課題』を抱えており、医療と福祉の連携は必須で、両立支援の実践は精神障害者支援にとって、大いに参考になると思います。

 

つきましては、12月より連絡会の見逃し配信を行こないます。

ぜひご視聴ください。

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令和4年度第1回精神障害者就労定着支援連絡会 見逃し配信のご案内はこちら

→ 申し込みはこちらから

講師 就労支援ネットワークONE 中金 竜次氏
テーマ 両立支援に学ぶ医療連携
対象 企業、医療機関、就労支援機関、教育、行政などの精神障害者の就労支援・障害者雇用に携わる皆さま
視聴申込み期限  令和4年11月29日(火)~12月16日(金)
配信期間  令和4年12月1日から12月31日
配信URL お申込み頂いた方のみのYoutube限定公開 
資料 お申込み頂いた方にメールにて配布

(セキュリティ関連で申込が出来ない場合、オープナーまでご連絡下さい)

お問い合わせ先:オープナー 吉本・川田(042-577-0079)

[受付終了]令和4年度 第1回精神障害者就労定着支援連絡会のお知らせ

オープナー 2022/10/19

[10/19更新]申込受付を終了しました。当日の参加をお待ちしております。

オープナーでは昨年度より東京都福祉保健局による「精神障害者就労定着連携促進事業」を事業受託しています。今年度も、感染予防の観点からZoom を使ったオンライン講演とし、その後YouTubeでのオンデマンド配信で開催を続けていく予定です。

 ※ 申し込みは専用フォームよりお受けいたします ➡ 第1回連絡会 お申込みフォーム

今年度で5年目になりました精神障害者就労定着支援連絡会です。今年度はあらためて『よりよい連携』をテーマに会を行っていきます。

チラシ画像

1回は就労支援ネットワークONE中金竜次氏講師にお迎えし両立支援の実践について報告していただきます。

両立支援とはがんなどの『長く付き合っていく病気』の治療を行いつつ、就労の継続を支援するというものです。

精神障害者も同様に『疾病管理と就業上の課題』を抱えており、医療と福祉の連携は必須で、両立支援の実践は精神障害者支援にとって、大いに参考になるのではないでしょうか。

後半には、参加者によるディスカッションを行い、連携の課題の共有や、より良い連携のあり方について話し合いたいと思います。ぜひご参加ください。

⇧チラシはこちらをクリック

【お申込みはこちらまで】 第1回連絡会 お申込みフォーム

日時 令和4年10月26日(水)14:00~16:00 
配信URL お申込み頂いた方のみの限定公開
資料 お申込み頂いた方にメールにて配布
対象 企業、医療機関、就労支援機関、教育、行政などの精神障害者の就労支援・障害者雇用に携わる皆さま
講師 就労支援ネットワークONE   中金 竜次氏
テーマ 両立支援に学ぶ医療連携

 

(セキュリティ関連で申込が出来ない場合、オープナーまでご連絡下さい)

お問い合わせ先:オープナー 吉本・川田(042-577-0079)

[ご報告]多摩就労支援ネットワーク連絡会議

オープナー 2019/06/24

2019年6月6日(木)に毎年行っている多摩就労支援ネットワーク会議を開催しました。

1部に就業・生活支援センターオープナーの本体業務の報告と3つの受託事業(精神障害者就労定着支援連絡会、医療機関・就労支援機関連携モデル事業、中小企業応援連携事業)の説明を行いました。

2部の基調講演では、「依存症・摂食障害の理解」~就労支援の手掛かりを探る~をテーマに医療法人社団 碧水会 長谷川病院 デイケア科 科長 佐々木真一氏に講演していただきました。

まずテーマの理由ですが、最近オープナーに相談に来る方は様々な問題を抱えていて対応が2、3者必要になったり、病気の複雑化など相談内容が多岐にわたってきており、より新しい情報と知識をもって支援する必要があると感じていました。そこで、デイケアで実践者である佐々木氏から情報や知識など、ポイントとなるお話しを聞きたく今回のテーマとなりました。

依存症はアルコールや薬物、ギャンブルだけでなくゲーム障害や万引き(病的窃盗症)、ハラスメントなどもあり時代と共に幅が広がっていて、医療分野でも非精神病の方に注目されているという状況を知りました。私はアルコール依存の方の支援経験がない為、最近新しい薬が出たことを知りませんでしたが、アルコールを断つのではなく減らすという新たな治療薬の登場を知りました。同時にハームリダクション(害薬を減らす)という治療観に変わってきたという話が興味深く、聞き入りました。

摂食障害については社会的文化背景として、痩せていることを尊ぶ価値観(美の意識 自己管理・節制の証など)など心理社会的ストレスと対処困難な状況が引き金になる。治療も「体重の回復」が前提であり、薬物療法は存在せず、後遺症もある話しを聞き摂食障害の難しさを改めて認識しました。スポーツ選手が記録や勝つためにストイックにトレーニングの体形改善で摂食障害になったという話しを思い出しました。

■依存者の特徴として、“シラフでの生きづらさを抱えている”ということ

「自己評価が低く」「自分を大切に出来ない」「孤独」「見捨てられ不安が強い」など

支援のポイントは

「支援する時はコントロールしない」「ルールを守らせることにとらわれすぎない」

「長い目で回復を見守る」「明るく安心出来る場の提供」「自立を促す関わり」など

■摂食障害のある方の傾向は、“期待を裏切れない生真面目なタイプの人が多い”

「疲労の覚知が難しい」

支援のポイントは、生活リズムが乱れやすいので「きめ細かな体調確認」を行う。

さらに依存症と摂食障害の背景にあるのはトラウマ体験であり、その関わりや配慮、フラッシュバック時の対応などのお話もして頂きました。

講演を聞き、これまでの知っていた依存症の知識や情報は古く、初めて聞く言葉や従来の治療では考えられないような新たな治療観など、驚きと共に知る事が出来ました。

無理に辞めさせたり、こじ開けたり、聞いたりせず無理のない環境を整えていき、医療との継続的な連携と正しい理解・知識とともに支援する姿勢が必要だと感じました。また実際、非精神病の方が働くとなった時に治療しながら定着に向けて周囲の理解や環境をどうすればいいのか考えなければいけないと感じました。

短時間ではありましたがとても内容の濃い講演をして頂き興奮して聞きました。今後も支援の質を高めていくために情報をキャッチしていこうと感じた講演でした。

 

*ハームリダクション:治療関係を維持・継続しながら関連する悪影響を少しでも軽減させる新たな治療、

 

吉岡  誠

多摩就労支援ネットワーク会議を開催します

オープナー 2019/05/22

毎年ハローワーク立川と共催で行っております、『多摩就労ネットワーク連絡会議』を今年度も開催いたします。

「依存症・摂食障害の理解」 ~就労支援の手掛かりを探る~

講師 医療法人社団碧水会 長谷川病院 デイケア科科長 佐々木真一氏

・日 時  2019年6月6日(木) 14時~16時
・場 所  立川地方合同庁舎(ハローワーク立川) 3階会議室
・対象者  就労支援機関・ハローワーク・行政・就労相談・支援に携わる方
・定 員  100 名(定員になり次第締め切りとなります)
・申込〆切 先着順

詳しくは以下をご覧ください。

2019年度多摩就労支援ネットワーク連絡会議チラシ

[ご報告]第3回精神障害者就労定着支援連絡会を開催しました

オープナー 2019/05/22

2018年度より、オープナーでは東京都福祉保健局による「精神障害者就労定着支援連絡会」を事業受託しています。

<前回までの報告はこちらをご覧ください>

だいぶ間があいてしまいましたが、1月18日に行われました第3回セミナーを報告させて頂きます。第3回は「働く当事者からのメッセージ~当事者セミナー」と題し、連絡会事業との同時開催という位置づけとさせていただきました。

 

【当事者セミナーとは】

今年度で8回目の開催となりました。登壇メンバーは、毎月オープナーで行っている、働く当事者のための茶話会、通称、「仕事談話室」のメンバーと、談話室には参加していないが、伝えたいことがあるメンバーです。内容は、これから病気と付き合いながら働こうと考えている方達に向けて、障害者雇用の実際を自分の体験談を通して、時には失敗談も織り交ぜながら語ってもらいます。

次のステップへ踏み出す足がかりや就職までのイメージ作りに役立てて貰えたらという想いで開催しています。

そのため、今回のセミナー参加者は、精神科病院やクリニックのデイケアに通所中の方、就労支援機関や地域活動支援センターにて準備をすすめている方、またそれぞれ施設の支援者、各企業の人事担当の方、現場指示者の方等、様々なお立場の方が集まっての回になりました。

 

第1部は「私の病気と障害」40代男性のオープナーメンバーに講師として登壇して頂きました。

発病前どんな生活をしていたか、どんな学生時代だったかから始まり、統合失調症を発病した頃のこと(在職中だったそうです)、病気がありながらどのようにして訓練して社会復帰していったか、またその葛藤などが生々しく語られました。そして支援機関を使っての転職活動や、その後転職し長く働き続けている工夫までお話いただきました。

話の中で印象的だったのは「昨日の自分を超えていくという心構えをもっている」「厳しい現実も事実として受け入れることも大切」ということでした。

つい発病以前の自分と比べてしまったりということもあったそうですが、仕事を任せてもらう中で成長し自信がもてるようになったそうです。

また、デイケアや通所先に日々通っている皆さんの中には自分がやっていることに自信がもてなかったり、前に進むにも回り道をしていると感じる方もいると思いますが、そんな方へのメッセージとして、「希望を持って生きていく事は病気に効く」という話もありました。他にも具体的な病気の予防と対処として「よく寝る/服薬をしっかりする」、仕事の乗り切り方は「仕事の事は職場でだけ考えて、ON・OFFをはっきりする」ことだと紹介して下さいました。

第2部では「準備と定着とは?」と題し、3名のオープナーメンバーとパネルディスカッションを行いました。

1人めは特例子会社にて事務職として6年半勤務の男性、2人目はアパレル関連で接客業を4年弱勤めている女性、3人目は特例子会社で店舗巡回清掃を1年勤めている女性です。それぞれに背景や生活環境が違い、部下をもつ人、すでにかなり独り立ちされている人、2年目に入ったばかりの人、家庭をもっていたりお子さんがいたりとバラエティに富んでいます。

話題は自己紹介がてらのそれぞれの道筋の紹介、自分に合っている通所先の見つけ方、仕事と生活のバランス、自分の病気と付き合いながら働くための努力、生活面での工夫等が話されました。自由な雰囲気の中、3人のキャラクターで笑いもおきながらの和やかな会になりました。

中でも特にアンケートや皆さんの反響があった話題を紹介すると、1番は「相談について」でした。

「相談するコツ」や「相談って何のためにやるの?」「愚痴と相談の違いって?」と、自分が働く中で相談することがどのように重要か、どう生かしているかが話されました。

ある人は「自分の判断で突っ走っちゃったりすることがあるので、相談をしたことで自分で判断せず答えを貰えたことがよかった。すごく楽になったが勇気はいる。トレーニング時代は出来なかった」との答え。また他の方は「どこからが相談かが難しく、支援者と話していても相談はあまりしてこなかった。自分が思った答えが返ってきて欲しいからそうじゃないならいいやと思って。職場では堅苦しくやらなくてもいいと思います!」と。また3人目の方は「自分の気持ちの整理として相談している」とのこと。他にも「いい人ぶりたい気持ちもあるので、そもそも言い辛い」などなど、3者3様の本音トークが新鮮でした。

支援者の立場からすると、つい口癖のように「相談して下さいね」と言いがちですが、相談をもちかける時の効果的な話し方や支援者を上手に活用していく方法については、社会人歴が長い方のセリフにはさすが!の説得力がありました。またパネリストメンバーの「相談しても意味がないんじゃないか、自分で判断した方が自分の経験にもなるし、評価されるのではないか」という気持ちにもどこか共感できますし、障害があるなしに関わらず社会人として誰もが感じる部分だなと感じます。

そういった部分も包み隠さず話し、ご参加の皆さんと質疑応答を通してやり取りできるところも当事者セミナーのいいところでもあります。

最後に会社の人事担当者へのメッセージ、支援者に向けてメッセージもお聞きしました。

「長い目で見て支援してほしい」「道半ばで送り出さずに、社会人としてのルールやマナーを知った人を送り出してほしい」とのコメントがありました。

 

連絡会は2019年度も引き続き行っていきます。ご参加いただいた企業・支援機関の皆様、ありがとうございました。

(高橋智子)

 

 

特集/連載 Part ❿『ある風景 〜共同作業所〈棕櫚亭〉を、私たちが総括する。』 “贅沢な時間をすごせた時代 切り取ることができない大切な時間”

法人本部 2019/03/08

ある風景 ~共同作業所棕櫚亭を、私たちが総括する。

贅沢な時間をすごせた時代 切り取ることができない大切な時間

社会福祉法人 多摩棕櫚亭協会
障害者就業・生活支援センター オープナー 主任 川田 俊也
(精神保健福祉士)

 「どうして精神分野で働くことになったのか」今振り返る

思えば、物心ついた頃から僕の周りには障がいのある方がいて、彼らが地域で暮らしていることが当たり前の生活で育ってきたように思います。聴覚障害者の親戚、脳性まひがある幼馴染、そして同じマンションには気分障害の方がいて、彼らとの関わりの中で、戸惑い、何か自分にできる事はないか? どうしたら彼らの手助けができるのだろうか? などと子供時代を過ごしているうちに、気がつけば大学では心理学を専攻していました。
授業を受け、やがて教授の助手としてカウンセリングに同席し始めると、訪れる人達をみて更にいろんな思いに駆られるようになりました。
例えば、カウンセリングの間、顔色を変えず全く笑顔を見せないAさんは、どのような気持ちで座っているのか考え、気がつくとAさんをじっと見つめている自分に、はっと気がつくのでした。このようなことを繰り返すうちに、まぁ何はともあれ「Aさんの笑ったところをみてみたい! 笑わせたい! なんとかしたい!」と感情がわいてきたのを今でも思い出します。
「もう少し踏み込んで彼らに関わっていきたい」 そんな自分の心境の変化が芽生えるのも時間の問題で「もっと精神障がいのある方とかかわりあえる仕事につきたい」と考えて精神保健福祉士の門を叩きました。今ここにいるのは、このような経緯なのです。

私自身何でも全力投球して目の前のことに没頭してしまう性格でした。いまでこそ主任という立場になり、何か起こってもそれなりに落ち着いて対処することが普通になってきましたが、昔は体育会系ののりでとにかく動いてしまうことが多かったように思います。そんな私がどちらかというと文化系の臭いを纏う(まとう)棕櫚亭と出会ったのは、学生時代に実習したことに始まります。ともかく一生懸命やっている姿が評価されたのか(笑)縁あってその後棕櫚亭で働くことになりました。最初は週一回のスポーツプログラムを担当する非常勤職員として勤務がはじまりました。アルバイトでスポーツインストラクターをしていたのもよかったのかもれません。

メンバーさん達からしてみれば、「こういう職員って嫌だよなぁ」と今なら思っただろうし、「よく棕櫚亭は採用してくれたよなぁ」 と思うときがあります。
そのころ思っていたことは「精神障害者をなんとか普通の生活ができるようにしたい」、「健康にさせたい」という気持ちが強く、思いだすと「思いあがった新人」という感じがして今顔が赤らむ思いがします。もし、自分と同じような新人がきたら「頭でっかちになるな!」と言うと思います、間違いなく(笑)。

自分は精神疾患に対して偏見みたいなものはないと考えていました。しかし、地域で生活している人というよりも、「病者」と感じ接していることがあったことを考えると「偏見がなかった」といえるかは、今となってははなはだ疑問に思うところです。勿論、今はそんな考えが間違っていることは重々わかっています。

この仕事を続ける上で、切り取ることができない大切な時間

連載されている「ある風景」の執筆依頼があって、構想を練っている時に自分には「ある風景」をひとつには絞れないと思いました。考えれば考えるほど、「この日、この場所、この場面」ひとつひとつをとってみても、真剣勝負で濃密な時間を過ごしていました。

ベランダの喫煙所で「おい! 川田! お前は間違ってる」とタバコを吸いながら本気で叱ってくれたUさん、夕方、お茶をしながら「息子のように育てたいのよ」と話してくれたKさん、ソファで相談にのってもらいながら「大丈夫!なんとかなる」と励ましてくれたKさん、市民祭や一泊旅行の実行委員を担当したとき、「一緒にやれてよかった!」と話してくれたYちゃん、送別会を開いてくれたとき、ハグをしてくれたSさん…… 数え上げれば切がないほどのメンバーさん達の顔が浮かびます。

言えることは、僕を育ててくれたのはメンバーさん達の率直な話だということです。もちろん先輩同僚職員のアドバイス等もたくさん受け、感じるところや考えさせられることもたくさんありました。それでもやはり大きいのは、メンバーさんの日々のかかわりでの率直な意見や表情、空気感など関わりの中から得たものです。ちょっと今では考えられないかもしれませんが、毎月あるグループミーティングで、私自身の1ヶ月間の振り返りを「じっくり、たっぷり」してもらっていたことを思い出します(これってものすごい贅沢な時間(笑))。

当時の僕もなかなか頑固で、言われることも多かったのですが、メンバーさん達に対しての感情やああしたい、こうしたい20190308121114ということを率直にぶつけていました。「そこまで言うのか?」というのもあったかもしれません。メンバーさん達からは「いやいや違うだろう!」という押しかえしもたくさんありました。結果的に僕が間違った態度も多く、素直に「ごめんなさい」と謝ることもたくさんありました。この年になっても人に謝るということができることは大切な財産だと思います。

とことん悩む時間をもらい…なんていうと少し格好をつけていて、実際は、そのままこの分野で働くことに自信を失うこともしばしばありました。少し前言を撤回するようですが、「口で言うほど素直なやりとりというのは簡単じゃない」という気持ちも半分はあります。

それでも、社会人ほやほやの僕に対して、社会経験豊富で自分自身と向き合ってきたメンバーさん達だったから、受けて止めてくれていたのかと改めて思えます。

本当に自由に過ごさせてもらっていましたし、この貴重な時間は私のキャリアにとって切り取ることができない貴重な時間だったと思います。

メンバーさんから育てられ、自分の気持ちが変化する

私もなんだかんだで中堅職員として、職員にいろんなことを伝えなければいけない立場になってきました。そんな私が苦手なことの一つは職員を育てることだという自覚があります。だから、すこしこの場で語りたいと思います。私の場合、一つのエピソードが自分を変えたというものはありません。メンバーさんとの日常的な関わりであるユニット活動やお茶を一緒に飲むこと、一泊旅行、スポーツプログラムなどの活動を通して、本当に徐々に考えや気持ちや姿勢が変わったという感じがします。「心境の変化」とは私の場合そのようなものです。
繰り返しになりますが、入職した頃、メンバーさんの「できないところをどうしようか」と思っていました。そしてそれが、自分の仕事だと思っていました。

しかし、メンバーさんと同じ時間を過ごし、共に笑い、メンバーさん同士が助け合っていたり、褒め合い、一生に悩んで

「最近夜、眠りにくいんだよ」と話し始めた時、他のメンバーさんが相槌を打ちながら「先生に相談してみたら」と、アドバイスする

20190308121025時には泣いて。そんな日常風景が流れていき、この作業所一部に溶け込んだ時に、メンバーさんの「いいとこ探し」をしている自分がいることに気がついていました。棕櫚亭Ⅰ(だいいち)の「ワンピース」になったみたいな感じです。

ようやくその頃の自分が「朝からちゃんと起きないからだよ」と笑いながら自然に応じている姿は、他の人からも違うように見えていたのではないかと思います。

「自分のアイデンティティが崩れ」なんて言うとかっこいいのですが、逃げ出したくなるようなしんどい気持ちと向き合い、理由を自問する。これを繰り返すことで自分自身を見つめなおす…そんなことがあったことをこの文章を書きながら、昨日のように思い出してきました。
私が私の専門家であるように、精神疾患の専門家というのは実はメンバーさん本人自身であり、教科書の知識は所詮、机上の知識であり、現実はメンバーさんから学ぶことが大切なことだと思いました。こんなことを後輩には伝えたいと思っています。

当時の棕櫚亭Ⅰに勤務できたことは私の財産であり、そのことには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

終わりに

仕事を始めて時間がすこしたち、自分がメンバーさんと共に生活をしていくにつれ、仕事をしているというか、自分も成長させてもらっているので、これでお給料を頂いていいのかなぁと思うことがありました(笑)
当時、作業所でメンバーさんにこんな質問をしました。「職員の役割ってなんでしょうか?」と。

メンバーさんは「一緒に悩んでくれて、側にいてくれて、何かあったら話せる相手」と答えてくれました。この言葉は今でも心に刻んでいます。
私の仕事のスタンスは「まず本人に教えてもらう」そして「黒子になろう」ということです。
これからも学ぶ・教わる姿勢は忘れないような関わり方を大切にしていきたいと思います。
たまに、先回りしてしまうことは自分の個性として受け入れてもらう他ないですが(苦笑)

この仕事に対する姿勢というものは就労系のオープナー勤務になった今も胸に刻みながら、職場と職場、そしてオープナーを汗をかきかき駆け回っています。

当事者スタッフ櫻井さんのコメント

川田さんが実習生で来て、非常勤として働き始めた頃からを知っているので、成長したなあ、Kさんが言うように育ったなあという感じをもちました。
川田さんが入職した頃とてもハンサムで(今もか(笑)) スマートで都会的センスにあふれ、かっこいいなとメンバー皆で話していたのが昨日のように思い出されます。
障害者自立支援法ができ、いろいろメンバーの活動が制限されていった頃、当時あった車の棕櫚亭号を運転し、いろいろな所にメンバーを連れて行ってくれました。
今で言う地活のⅡ型で(その当時は作業所)生活全般にわたって川田さんには相談を引き受けていただきました。その頃のメンバーは40代、50代の重鎮もいて正直仕事しづらかったかとも思います。もともと誠実で素直な性格だったので、この並み居る重鎮に言われたことを自分で消化し自分の仕事に生かしていったことかと思います。
今や棕櫚亭になくてはならない人になった川田さんの考えが後の方に継承されればと思います。

編集: 多摩棕櫚亭協会 「ある風景」 企画委員会

もくじ

 

[終了]3/13精神障害者就労定着支援連絡会 第4回セミナーのお知らせ

オープナー 2019/03/07

【3/7(木)18:00現在 申込状況 : 残り若干名の受付となっております。3/7までにお申込み頂いた皆様はお席を確保しております】

今年度、オープナーでは東京都福祉保健局による「精神障害者就労定着支援連絡会」を事業受託しています。

8月30日、10月31日の2回は統合失調症をはじめとした精神障害、発達障害を知るセミナーを開催してきました。また、1月18日には例年オープナーが行っております「当事者セミナー」との共催として「働く当事者に聞く! 働く準備と職場定着」と題しセミナーを行いました。お陰様で毎回満席を頂き、キャンセル待ちが出ている状況となっております。

つづくシリーズ第4回では、「平成30年度精神障害者就労定着支援連絡会 事業報告」および「精神障害者の採用面接ポイント~面接は雰囲気作りから始まる~」と題し、精神障害の方を雇用するための採用面接についてデモンストレーションを交えながらポイントを学ぶセミナーを開催致します。

基調講演

講 演 : 大森 理智 氏 (みずほビジネス・チャレンジド株式会社 企画部 職場定着支援チーム)

・日時  2019年3月13日(水) 13:30受付 14:00~16:00
・場所  立川グランドホテル
・対象者 精神障害者の方をすでに雇用している企業担当者、これから雇用しようとしている企業担当者、就労支援機関(就労移行支援事業所)
・定員  150名
・申込〆切 定員になり次第締め切りとなります

詳しくは以下をご覧ください。

精神障害者就労定着支援連絡会 第4回講演チラシ

特集/連載 Part ❻『ある風景 〜共同作業所〈棕櫚亭〉を、私たちが総括する。』 “Keywordは、「就労」「ピア」「生活」「食事」…かな。”

法人本部 2018/12/07

ある風景 ~共同作業所棕櫚亭を、私たちが総括する。

Keywordは、「就労」「ピア」「生活」「食事」…かな。

社会福祉法人 多摩棕櫚亭協会
障害者就業・生活支援センター オープナー 森園 寿世
(精神保健福祉士)

違和感 ~ 精神科病院での実習

私は福祉の仕事に就くために、福祉系の学校に進学し、そこで実習先に精神病院を選んだことから、今の仕事とつながっていくことになりました。

その精神科病院での実習は女性の半開放病棟で行なうことになりました。
学生実習なので、当然夕方には終了するのですが、半開放病棟を出て、事故も無く終えたことにホッとした瞬間、背後でガチャンと重い扉と鍵のしまる音にドキッとしたことは今でも鮮明に覚えています。

また、病棟では、看護婦長が入院患者さんたちを対象に料理教室を開いていました。
看護婦長は一人で手早く料理を進めて、患者さんたちは手持ちぶさたです。
料理教室なのに、なぜ患者さん達に料理をさせないのかを聞いた時に、「この人たちは普段から『ああしろこうしろ』と言われているので、この時間くらいは、何もしないでいいようにです」と返ってきた答えに、なんか変、それはおかしいという違和感が心に芽生えました。

また、同じ看護婦長から、「この人たちはもう退院できるはずなのに、家族が受け入れを拒否しているから、ここにいるしかない」という事も聞きました。
自分の中のちっちゃな正義感みたいなものがうずいた大きな体験でした。

学生実習では色々な感情に揺り動かされました。そしてこの空間がもたらす違和感のようなものが私の心に、こびり付いたような、そんな感情も生まれました。

棕櫚亭との出会い

卒業後は、精神に携わる仕事に就きたいと精神科病院の就職を希望し、門をたたいたものの、残念ながら機会は得られませんでした。一方地域に目を向けた時、当時はまだ精神衛生法の時代、作業所といわれる施設はほんの一握りでした。

学校を卒業してから更に10年、時代は衛生法から精神保健法に変わっていた頃、棕櫚亭の求人情報と出会いました。応募の電話を入れたところ、「まずは棕櫚亭Ⅰ(国立市・谷保)に来てメンバーと一緒に作業実習をやってみて」と言われ、尋ねたところは、古い一軒家の広い民家でした。

ウエス(雑巾)作りや昼食作りのグループに別れて、にぎやかに作業をしていて、代わる代わるメンバーさんが私に話しかけてきてくれました。主に、年上の穏やかな男性メンバーさんが、この棕櫚亭の説明をしてくれました(後にこのメンバーさんはSSクラブ [生活就労支援部 1] のリーダー役になる方でした)。この日、あんまり職員の方とは話した記憶はありません(笑)。作業所は学生時代に実習をした精神科デイケアの雰囲気より、もっともっとフランクな雰囲気でした。この作業所の中では自分の中に芽生えた違和感が少しずつ払拭されていく感じがしました。

作業実習後の二次面接の日程は、「追って連絡する」と言われていました。ところが、私は自分の履歴書を渡し忘れたまま帰ってきていました。そのうえ、渡し忘れていることさえも忘れていたのです。その後、奇跡的に前理事長の天野さんが、住所も電話番号も判からない私を探しあててくれたのです。そんな間抜けなことをする人間によく働く機会をいただけたと思いましたが、反面「これは天命かもしれない(笑)」というくらいに感動しました。そして、今もこの棕櫚亭で働いています。

※1…SSクラブでは先駆的に「精神障害者の生活と就労を考えるプログラム」を提供していました

「どんな仕事をしたいのか?」自己に向き合う

二次面接を経て無事採用後、「喰えて、稼げて、寛げて」をコンセプトにしていた棕櫚亭Ⅱ(だいに・当時立川にあった作業所)に配属されました。再開発され始めたばかりのファーレ立川の近くにある手狭のアパートの一室。タバコ部屋もあって茶色い壁とタバコの臭いを思い出すと今も鼻がむずかゆくなります。この棕櫚亭Ⅱは開所当初から「働いて稼ぐ」ことを目的にした作業所でした。精神障害者が社会で働くなんて一般には想像できない、この時代に、棕櫚亭ではすでに打ちっぱなしのゴルフ練習場の早朝の集球作業をメンバー数人で取り組むグループ就労が行われていました。

20181205130125ほとんどが私より年上の男性メンバーさん方で、喧嘩もあれば、ちょっと女性が聞き辛い話(今で言うセクハラ 話?)もありました。働くことを目指すといっても、作業が終わるとマージャンを毎日のようにやっていました(近所のおじさんたちの集まるサロン!?)。でも、麻雀牌を捨てながら、誰かが「家族とうまくいっていない、そもそも自分の病気のせいで、家族に大変な思いをさせてしまった、だからいま寂しくても仕方がない」なんて話し出すと、そうだよな…… Aさんは大変だよなぁと相槌を打ちながら聞いてあげています。
当時の作業所には面談室もなく、職員とメンバーとの相談はリビングです。聞くともなく他のメンバーさんも相談話しが耳に入ってきたり……。メンバーにとって、自分の家のように思える場所を、スタッフと一緒に作っていたように思います。

その中で、私もまた彼らとの向き合い方を考え始めるのですが、「職員の役割は何なのか? 」「メンバーと私が違うのは、車の運転をする事と作業所の会計の仕事をする事だけなのか?」……。
なぜ仕事として彼らに関わりたいと思ったのか悩み始めることになりました。

それからまもなく、時代は精神保健福祉法となり、精神障害者保健福祉手帳制度が創設されました。作業所では、メンバーさんを集め、手帳に関する勉強会などが始められました。
そして、棕櫚亭にはSSクラブ(生活就労支援部)が作られました。
SSクラブは、仕事やピアカウンセリング(当事者同士によるカウンセリング)について学んだり、「働くこととは自分達にとってどのような意味があるのか」などのディスカッションしたり、活気のある場でした。
ある時、メンバーさんに限らず、職員も「自分はどんな支援がしたいのか?なぜそう思うのか?」というテーマで一人一人プレゼンをする機会がありました。
その場で、私はうまく話すことができませんでした。改めて自分の考えをきちんと話せない自分にとてつもなく落ち込んだのを覚えています。
むしろ、メンバーさん達の頑張りを見れば見るほど、またもや自分の役割や何をするべきなのか、自分の生き方は何だろう。私は、何をしたいのだろうと。自己と向き合うことが益々多くなりました。よもや30歳を過ぎてこんなに迷うとは思っていませんでした。
また、ある日、先輩職員から「勤務時間でない時間でもメンバーとどう関わっていけるかが大事」というアドバイスをもらいました。とても大切なメッセージをもらったと思っています。

棕櫚亭の作業所を象徴するword

時代は自立支援法、障害者総合福祉法と移り、こなさなければいけない業務量も事務量も増え、メンバーとの関わりの時間もタイトになってきました。例えば私の関わる就労支援では、企業の参入など目まぐるしい動きの中で、福祉がサービス化されていく流れがあります。時代の流れの中でものごとを見失いそうになるときもあったりします。そして、難しくなってきた支援自体に行き詰ることもあります。
その中でも、私を受け入れてくれるメンバーやスタッフの懐の深さに救われながら、仕事を続けられています。私も気がつけば棕櫚亭のキャリアも長いほうの部類に入ってきました。たくさん語りたいことはありますが、紙面の関係もあり書き尽くすことができません。従って私が考える、棕櫚亭を象徴するKeywordをお伝えしたいと思います。このwordは今もこの棕櫚亭に息づいていると思います。

私なりに受け取ったそのwordの意味が、作業所から始まる棕櫚亭の理念につながっているのだと思います。それを紹介して私の文章の締めとさせていただきます。

「就労」とは…自己実現の機会を作ること。
「ピア」「生活」とは…一人にしない。支えあうこと。

メンバー一人ひとりに丁寧に関わっていくことなど創設当初から変わらず、いまも引き継がれている棕櫚亭の大切な骨組みです。

そうそう、それから

「食事」もでした。
当初から、皆でご飯を作って一緒に食べることにこだわって、今でも続けている大切なプログラムです。
同じ釜の飯を食うのも、実は一番大切なことのひとつなのかもしれませんね。

 

当事者スタッフ櫻井さんのコメント

森園さんのキーワード4つが息づいている棕櫚亭という法人が法律の改正とともに歩んできた姿が、手に取るようにわかる文章でした。現在法人のベテランに属する森園さんが、履歴書を出し忘れ、そのこと自体忘れたのに、天野理事長はどうやって探しあてたのだろうそんな疑問もわいてきます。昔のメンバーさんが自分の家のように感じて居場所にしていた棕櫚亭も、多くの人が行き交い、自身を社会へ飛び出させていった場所を今、訪れてみれば隔世の感もあるかと思います。でもその時代一緒に生きたスタッフは健在で、あの頃に話の華を咲かせることができるのも棕櫚亭の良さかと思います。あの頃指導していただいたメンバーの皆様も時々遠い日を目を細めながら思いおこしながら、今を生きている。そのようなメンバーさんの集まりが30周年の記念行事であり、再会し、ピアスで語りあった日々であることを考えると、歴史の重さを感じざるを得ません。この「30年にわたる思い」は今に至るまでずーっと脈々と生き続けています。ひしひしと感じながら今回読ませていただきました。

編集: 多摩棕櫚亭協会 「ある風景」 企画委員会

もくじ

 

(8/20更新・会場変更しました)精神障害者就労定着支援連絡会 第1回セミナーのお知らせ

オープナー 2018/08/20

【最終更新:8月20日(月) ※多数のお申込をいただいたため、会場を変更しました!

今年度よりオープナーでは東京都福祉保健局による「精神障害者就労定着支援連絡会」を事業受託しています。

この度、シリーズ第1回として「『精神障害とは何か』 企業が知りたい病気の基礎知識と応用」と題しセミナーを行うこととなりました。

「精神障害とは何か」 企業が知りたい病気の基礎知識と応用

講 演 : 藤田英親院長(国分寺すずかけ心療クリニック)

・日時  2018年8月30日(木) 13:30受付 14:00~16:00
・場所  立川グランドホテル 3階 サンマルコグランデ 新会場のお知らせはこちら
・対象者 精神障害者の方をすでに雇用している企業担当者、これから雇用しようとしている企業担当者、就労支援機関(就労移行支援事業所)
・定員  100 名
・申込〆切 8月22日(水)まで 受付を締め切りました

詳しくは以下をご覧ください。

精神障害者就労定着支援連絡会 第1回講演チラシ

多くのお申込を頂戴している為、掲載しておりましたチラシ・申込書は取り下げさせて頂きました。ご入用・ご不明な点がございましたらオープナーまでご連絡下さい。

「障害者の職場定着を目指して」【無料】報告セミナー開催のお知らせ

研修会 2016/01/21

平成25年度より法定雇用率が2.0%に引き上げられ、平成30年度には精神障害者の雇用率算定化を見据え、障害者雇用に取り組む企業が飛躍的に増えました。
しかし、その一方で、短期間で離職してしまう障害者も多く、障害者雇用において職場定着は大きな課題となっています。

このような中、障害者就業・生活支援センター(「ワーキング・トライ」「アイーキャリア」「オープナー」「ウェルズ トウキョウ WELʼS TOKYO」「タラント TALANT」)は、平成26年度、平成27年度の2カ年事業として、東京都産業労働局より「障害者職場定着サポート推進事業」の委託を受け、障害者の雇用継続に効果的・効率的な支援方法について700件をこえる事例収集を行い、企業ならびに障害者に対するヒアリング調査を重ねて、事例集を作成いたしました。
このたび、本事業の総括として、ヒアリング調査より分析いたしました障害者の雇用継続に効果的・効率的な支援方法についてご報告するセミナーを開催する運びとなりました。

すでに障害者を雇用している企業、今後、障害者雇用に取り組む予定の企業の皆さま、ならびに障害者の就労支援に携わっている皆様のご参加をお待ちしております。

詳しくはこちらから »

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