9月6日に毎年HW立川と共催している多摩就労ネットワーク会議を行いました。そして今回、近年の多様な対応に先立ち、オープナーでは「発達障害と依存症」というテーマを取り上げました。今回は例年お世話になっている関係機関の他に、普段はなかなか一緒に仕事をする機会がない生活福祉課や大学にも幅広くお声かけさせていただいたところ、反響があり、本来なら定員100名のところ、大幅に上回る116名の方にご参加いただくこととなりました。
1部ではアメリカでのダルク当事者との交流や精神保健福祉センター・保健所などでのアディクションに関する活動を精力的に活動されてきた雷門クリニックの伊波真理雄先生をお招きしました。
「アディクションとは」から始まり、発症の危険因子や回復のプロセス、依存症を理解するコツなど先生の当事者との交流のご経験があったからこその考え方を教えていただきました。その後は、発達障害と依存症との違いや発達障害者が依存症になりやすい傾向がある理由など事例を交えながら、ご説明していただきました。伊波先生の患者への関わり方は治療という堅苦しいかたちではなく、本人に寄り添って話を聞いている、そんな感じがしました。
2部では発達障害の傾向があると診断を受けており、ギャンブル依存症をもつオープナー登録者の千濱友之さんに体験談を話していただきました。ギャンブルになぜはまってしまったのか、ギャンブルを止められない日々、訓練施設にいきながらGAに出会い、現在就労を続けている現状までを赤裸々に語ってくださいました。
千濱さんは当時感じていた気持ちも率直に話してくださり、最後には「今でも明日やってしまうのではないかととてもこわい」と2年間ギャンブルをしていないにも関わらず、実はまだギャンブルを抑制できない自分がいて、その葛藤を続けているという弱い部分も伝えてくれました。
発達障害をもつ人がなぜ依存症になりやすいのか。伊波先生は精神科の治療は「人間関係の治療」だとおっしゃいました。発達障害をもつ人はなかなか人と上手くコミュニケーションをとれない方が多くいらっしゃいます。今回学んだことは、依存症の症状を抑えることに焦点を当てるのではなく、本人がどういったことに生きづらさを感じているのかを考え、自分に自信を持てるような生き方を誰かと一緒に重ねていくことが大切なのだと教えていただきました。千濱さんからは「ゆっくり話を聞いてほしい」との支援者へのメッセージがありました。依存症だから発達障害との重複だからと特別なことが必要なのではなく、伊波先から教わった「笑顔とリラックス」をキーワードに本人と向き合うことが大切なのだと思います。業務の忙しさから、わかってはいるけれども忘れかけていた福祉の原点であり、関わり方を思い出させてもらえた研修でした。
オープナー 本田美咲